ほとんどとの人が初耳なのでは?「アニマルウェルフェア」という言葉。
世界中に広がる「アニマルウェルフェア」を知ってください。
ストレスや苦痛のない飼育環境を
「動物愛護法」は動物愛護週間があるくらい有名な法律で、近頃のペットの虐待や多頭飼の劣悪環境で改正があり、動物をみだりに殺したり傷つけたりすると5年以下の懲役や500万円以下の罰金が課せられるようになりました。
他にも、えさや水を与えずに衰弱させても、遺棄しても、懲役と罰金が課せられます。
改正にあたり、「餌や水を与えない」という具体的なネグレストの内容が書かれたことが大きなポイント。
これによって、今まではそういう状態のペットを見ても助けられなかったことが多々ありましたが、その一文で救えなかった動物を保護できるようになりました。
日本の動物愛護法とは、少し視点が異なる「アニマルウェルフェア」は「動物福祉」と訳されます。
「人が動物を利用しても良いが、動物のストレスや苦痛を減らし快適に暮らせるよう配慮する」ことを提唱しています。
1960年代にイギリスで始まりました。スローガンは「すべての家畜に、5つの自由を」です。
5つの自由
- 「飢え」「渇き」からの自由
適切な水と食事を与えられていますか? - 「不快」からの自由
環境は安全かつ清潔で、悪天候の影響を受けない環境ですか? - 「痛み・傷害・病気」からの自由
健康管理や予防や病気治癒のために適切な診療や対策をしていますか? - 「恐怖や抑圧」からの自由
多大な精神的なストレスを与えていませんか? - 「正常な行動を表現」する自由
活動するのに無理なく動ける広さや環境を確保していますか?
EUでは、欧州協定で農業用に飼育される動物保護に加えて、食肉処理規制、輸送規制、豚指令(養豚の規制)、肉用鳥指令、採卵鳥指令等、細かく取り組みを規制しています。
日本の90%以上の卵はゲージ飼いで生産される日本
近年、健康志向も高まり、平飼いや放し飼いの卵も増えましたね。でも、実態はゲージ飼いで工場のように鶏が並び、えさを食べ卵を産むという流れで生まれた卵です。
日本は、年間一人当たり338個の卵を食べているということなので、生産性や効率性を求められる理由があります。卵の価格は安定していて、家計を助けてくれているのも、この効率的な生産だからこそ。
豚は、動物園で見るとよく穴掘りをしたり泥んこで遊んでいますよね。一匹でいるより何匹かで群れて移動する動物とされていますが、清潔な環境を保つため等の理由で、コンクリートの床と金網の中で飼育されていることが多いようです。
実は東京オリンピックの時に、食材の調達の基準の中に組み込まれていて、「アニマルウェルフェア」を啓発している人たちは、この機会に広まることを期待していましたが、私たちにその情報は届きませんでしたね。
最近では、スターバックスやマクドナルドなどの多国籍業が、対応を表明し始めています。
「動物実験はしていません」という化粧品メーカーの表示も増えたように思います。
動物たちの生活空間は
農林水産省の畜産統計などを参考にサイズをまとめると、
- 排卵鶏 370c㎡~430c㎡
- ブロイラー 500c㎡~600c㎡
- 豚 0.8㎡
- 乳用牛 2.4㎡
- 肉用牛 5.4㎡
よくわからないので、いつものように身近なもので例えると、
排卵鶏は、B5サイズ、ブロイラーはA4サイズ、豚は半畳、
乳用牛は畳1枚、肉用牛は畳2枚ほど。
牛は、広大な牧場で自由な日々を送っているかと思いきや、現実は小さな牛舎の中で一生を終えていることが多い。
豚は狭い中で出産し、方向転換できないことで、生まれたばかりの子豚を踏み潰すことも問題視されているらしい。
鳥インフルや豚コレラとかの伝染病も、ラッシュ時の山手線の中で起きているような状態で壊滅的な蔓延になり、鳥や豚は廃棄されます。
日本は国土が狭いので、広大な国土を持つ海外と比較して、放し飼いや放牧をすべての畜産で実施することはできないと思うけれど、改善の余地はあると思います。
ここは、那須高原が近いので、国道を豚や牛をたくさん載せたトラックに出会います。
豚は、修学旅行さながらに、あの顔でブヒブヒ言いながら楽しそう・・・・その光景は、ワタシには心痛い眺めです。
コオロギ食のコオロギだって、煮干しだって、切り身の魚だって、野菜だって、イノチと考えると
「いただきます」に心をこめたいですね。
日本第一号のアニマルウェルフェア認証
中洞牧場ホームページより
中洞牧場
牛たちは自由に草を食み歩き回り、夜は自分たちで牛舎に戻ってくるらしい。四季折々で表情豊かな素敵な牛たちの写真がたくさんあるホームページで癒されてください。
実は、一番最初に「アニマルウェルフェア」について聞いたのは、中洞牧場の中洞正牧場長の講演でした。この牧場のことは、友人が岩泉にいるので昔からよく知っていて、ここの商品も購入させていただいてます。
昔は、知る人ぞ知る中洞牧場も、近頃は都内の百貨店で広く販売されて、全国的に有名な商品になりました。
この中洞牧場が、第一号です。
ホームページを見ると広大な牧場と、のびのび過ごす牛たちに圧倒されます。
山地酪農 という新しい考えの牧場運営で、荒れ果てた山林を、牛たちが自分の住処を開拓するように広げていき、住み心地の良い環境を自ら作っていきます。
‘牛なり・山なり・自然なり’の放牧酪農を行っています。中洞牧場の特徴は『野シバ・野草・クマザサなど在来野草地での昼夜自然放牧、輸入飼料不使用、農薬・化学肥料不使用、自然交配・自然分娩・生後2ヵ月程度の母乳哺育』などで、それが評価されて第一号に認証されています。この手法は国内2万戸弱ある酪農家でもほとんど行われていない中洞牧場独自の飼養管理手法ですが、近年は、中洞牧場で研修を終えた若者たちが全国に散らばり広げているようです。
牛乳は食べたものからできている
最後に、中洞さんの演会で新たな気づきは、
「牛乳は夏と冬では味が変わります。食べているものが違うので味が変わります」
どう?当たり前なのに、当たり前じゃない。
同じ味に慣れすぎて、牛乳はこんな味と勝手に思っていましたが、本当に違うんです。
こんな基本的なことに驚かされたワタシです。
いつも「ヒトは食べたものからできています。」と言っているのに、
動物だって、植物だって当てはまりますよね。
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